『アンサンブルー』 特設ページ


徳永憲、2年振りのNEWアルバム!
デビューは1998年。ひっそりと、しかしコンスタントに作品を作り上げてきた徳永憲­が、
2015年放つのはその名も『アンサンブルー』
“ブルーの集合体?”とは果たして何なのか。
「小さきものに目を向け、権威を憎み、しかしその全てを愛す。
<アンサンブルー>の名のもとに」(本人談)

徳永憲 NEW ALBUM 「アンサンブルー」
品番:WAKRD-048
価格:2300円+税
JAN:4582217970483
流通:BRIDGE
発売日:2015.03.20.fri

1.ザ・解体ショー
2.イカロスの気絶
3.(そういや僕らは)アンドロイド
4.アンサンブルー
5.人生は突然やってくる
6.あともう少しだけ静寂を
7.理想のオートバイ
8.なぜか席が近くなる女の子
9.北へ行こう
10.絵本のなかに
11.メタルが好きだ

ワイキキ・レコード主催「試聴会」レポート→こちら

インタビュー:
ミュージック・マガジン2015年4月号
Real Sound(2015.3.20 UP!)










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<全曲解説>

1.ザ・解体ショー
全て宅録の多重録音。50本くらい声を重ねている。プロツールズ+Mbox Pro、マイクはAKG C414。マイクのプリアンプはARTにロシアの真空管を入れたやつ(安物です)。
最初は弾き語りの状態で、そこからコーラス・アレンジを加えていった。
コンピュータでピッチ補正を入れない主義なので(ただの負けず嫌い)、やたら録音に時間がかかって苦労したが、作業に没頭するのは嫌いじゃない。
メロディー自体は少し前からあったが、歌詞をのせたのは2013年。活け造りの鯛(まだピクピクしてる)にぐっと近づき、目を合わせテレパシーを試みた経験から生まれた。


2.イカロスの気絶
ギターのチューニングはCGCGCEで、前作の「女子女子女子」「世界のはずれ」と同じ。つまりそれらと同時期にアイディアが出てきた曲。しかし、完成させたのは2013年。
歌詞は自虐であり、それをあらゆる人に向けて逆噴射している形。
最後のリフレインの「気絶 気絶 気絶 フー」はストーンズの「ブラウン・シュガー」を意識したのだが、誰も気づいてくれない。
ストリングスの響きが気持ちいいが、これを弾いたのはドラマー中村さんの奥さん。プロの演奏家さんです。僕がシンセで弾いたガイド・アレンジをちゃんと譜面に起こしてくれて、見事に再現してくれました。
名曲と言ってもらえると嬉しいので「え?今、なんか言った?」と聞き返すようにしています。
PVについては→こちら


3.(そういや僕らは)アンドロイド
究極的に人間に近づくと、アンドロイドも物忘れする。
忘れることが出来れば、アンドロイドも一人前。そういう歌です。2001年作。
フィットする作品がなくて、ずっとお蔵入りしてたんだけど、忘れたことはなかった。
今回のアルバムには不思議な余韻を残す曲が多かったので、うまく潜り込ませることができた。
僕にしては珍しくファンキーな曲調で、吉川君のベースは水を得た魚のよう。僕も珍しく16ビートカッティングしてます。ピアノで参加してくれたのはNERO河合さん。サビでふわっとコード感が広がります。
サビの途中でオオカミの遠吠えっぽいコーラスが入る。このイメージは次曲のタイトル曲へと引き継がれていくのであった。


4.アンサンブルー
元々別の歌詞が乗っていたが、ある時「アンサンブルー」って言葉が降りて来て、そのため全部書き直し。今の形となった。2013年作。
ちなみに「レオポン」と「ライガー」は交配しても子どもは産まれません。それを知った上で言葉を感じてみるのも、また面白いかもしれません。
フルートの聡子ちゃんは相変わらず素晴らしい。間奏のアドリブ・ソロは何度か吹いてもらったが、ワンテイク目でこれがOKテイクだと分かってました(それでは本人の気が済まないので一応テイクを重ねましたが)。
そして、コーラス職人徳永も楽しそうです。本当はもっと複雑にしたかったのだが、そこはプロデュース徳永に止められた模様。一番重要なのは歌詞なので、それが耳に入ってこなくなるアレンジはボツにされてしまう。
「アンサンブルー」って造語については秘密にしておきたかったんだけど、こちらのインタビューでうまく聞き出されてしまいました。


5.人生は突然やってくる
90年代には原型があった青春曲。しかし、2013年に改造されて、ちゃんとした曲と相成った。
歌詞は出不精な自分が多分に出ているけど、誰にも思い当たるフシはあるだろう。
タイトルを補足するなら「(堂々巡りで)人生は突然やってくる」。何度も繰り返される「ハロー」、そしてその度に残酷によみがえるもの。それは何だ?
演奏ではホーン隊がフィーチャーされている。今回はコーディネーターとしてトロンボーン奏者の二木君に色々と手伝ってもらった。基本的なアレンジ、ハーモニーは僕がつけているが、譜面も書けないし、プレイヤー目線での脚色も入れて欲しいので、その辺りは柔軟に対応していくという進行だった。
後半のソロは自由に2〜3テイク吹いてもらって、あとは自宅でプロツールズの編集作業。
ドラムに少しDUBっぽい処理がされているが、こういうことはデビュー時から隠れて続けている。完全に趣味の世界です。


6.あともう少しだけ静寂を
2013年作。DADGAD2capoで弾かれ、ブリティッシュ・トラッドを自分なりに昇華させた曲。
リハではリズム隊のノリを完成させるのに結構時間を使った。短い曲だけど、そこが決まらないと話にならないので。
歌詞は分かりにくいかもしれないが、分かり易くしたところで体をなくすような、そんな感じ。
具体的な事案を連ねつつ、そこに通底する抽象性を大事にしている。
自分の周りの風向きがわずかに変化する、その一瞬前の機微が描かれている、と僕自身は解釈しているのだが、どうでしょう。
レコーディングはリズム隊、ホーン隊、フルート、すべてがすんなりと短時間に済み、収まるべき所にぴたりと収まった感覚があった。


7.理想のオートバイ
よく分からない変なコードに黄金メロディーが絡む、これぞ徳永憲節、と自分で言おう。
歌詞はタイトルに集約されているが、それを何度もしつこく歌うことで、別の側面も浮き上がる。そんな歌です。単純に男の趣味の極道っぷりを歌ってると捉えてくれてもいいし、男女関係の暗喩を感じてもらってもいい。そこはわざとはっきりとさせていない。
作ったのは2000年ぐらい。当時のスタッフ・ミーティングであまり受けが良くなかったのでボツになっていたのだが、僕の中ではずっとひっかかっていて、完全に忘れ去ったことはなかった。
今回のヴァージョンはその時の憂き目を晴らせるよう、アレンジにメリハリをつけてみた。
今や結構気に入ってくれる人が多いので、ひそかに嬉しがっている。


8.なぜか席が近くなる女の子
デモテープの頃から「すごい歌詞ですね・・」と周りで話題になってました。日々進んでいる現実の真剣さと、薮から棒のユーモアが表裏一体に進行していて、個人的にはとてもお気に入りだ(テクニックで書いたのではなく、自然に出てきたのを知ってるだけに)。
2011年作。前作『ねじまき』の曲作りの頃に出来ていたが、あちらの内容にはそぐわなかった。今回のアルバムにはマッチしていると思う。
アレンジはシンプル。当初、歌メロと対旋律になってる手の混んだギター・アレンジを用意していたが、結局それは使わなかった。面白いアイディアより普通のアレンジの方が歌詞が耳に入ってきたので。
間奏で鳴っている鍵盤は子供用のトイピアノ。間の抜けたトーンを美麗なストリングスと対比させてみました。


9.北へ行こう
2007年作。穏やかな曲調であるが、実は転調は多いし展開も多く、やっている方は油断できない曲。おまけにスネアの入るポイントとか細かい指示をする僕に中村さんもさぞや困ったことであろう。
歌詞の方も油断ならなくて、狂気を孕んだ女と自滅の道を進む男の姿が描かれる。『ただ可憐なもの』収録の「北極星」でも男は北を目指したが、あちらとは全く動機が違う。
あちらは希望の先に、こちらは絶望の先に、何が待っているのか。そういう歌であります。


10.絵本のなかに
2013年作。子どもには絵本を読んでくれ、とせがんでくる時期があるのだが、その時の集中はすごい。読まされているこちらすら入っていけないような世界へ入ることがある。それを目の当たりにした時、所詮大人の絵本好きなんて偽物だ(自分も含む)と思うわけです。そんな歌。
怒濤のギターソロは嬉しがって何テイクも弾いた(繋ぎようが無かったので使ったのは1テイクだけだが)。ホーンのアドリブは意図を説明してもうまく伝わらなかったので、適当に吹いてもらってあとで編集のパッチワーク。
そして、最後、ドラムは尺が足らなくなったので、逆回転で戻っていってます。
使ったチューニングはEADGAE。不協和音で破綻するギリギリのところを縫うようなフレーズに、ベース吉川君は困っていた。コードネームをつけるのは多分無理だろうな。(つけても意味を成さないが)


11.メタルが好きだ
2013年作。弾き語りは毎回アルバム制作の終盤に録音している。今回のもそう。全体の内容を引き受けての、演奏になってくれるし「締め」らしい佇まいになってくれるので。
歌の内容は特にひねりのないもの。メロディーに引き寄せられてあっという間に完成した。
ヘヴィメタルは幅広く認知されているにもかかわらず迫害されがちな音楽である。この歌の主人公もこの内容を声高に宣言しているわけではない。心の声であり、独白である。
サラリーマンとして社会に適応しながら、ひそかにメタルを愛し続けているのである。その姿は哀愁を感じさせる。音楽好きであれば、この主人公を迫害することなど出来ない筈。そういう構造の歌です。ちなみに僕もメタル好きです。
間奏はお得意のグロッケン。デビュー時から折を見ては使用している、お気に入りの楽器です。


『ねじまき』を完成させた後、リリースまでにできた自由時間。
その期間の中で「自分の中に何が眠っているかな」と赴くままに新曲を書きつつ、同時に次作を作るとしたら、どんな作風になるだろうか、とピンと来るものが現れるのを待っていた。
最初はカントリー、フォーク的な曲調を集めてみたのだが、ある時「アンサンブルー」という曲が出来て「ああ、その言葉を補完するような曲を集めたら面白いかも」と思い本格的に選曲を始めた。
喪失にまつわる曲を集めた『ねじまき』からガラリと変え、今度はインスピレーション一発で飛び出したシュールな曲を集めたら面白い、と。

プリプロ・デモを制作しつつ選曲を固めたのは2013年秋。その後、父の死があって進行が滞りかけたが、無事バンドのリハーサルを始めることができた。
録音は2014年3月より。基本は今まで通り。リズム隊を1日で録ってしまい、家でじっくりオーヴァーダブ、そして立ち会い1日のミックスを経て完成へ。
スケジュールを見るとすごい強行っぷりだが、予算を絞る為には仕方ない。『スワン』以来ずっとこのやり方をワイキキ・レコードに強いられてきたので、すっかり鍛えられた感がある。今までと違った点は3管ホーンをスタジオでしっかりとダビングしたことぐらいかな。
ミックスは『ただ可憐なもの』で気に入っていた京都のマザーシップ・スタジオにて。
基本的にミックス作業というのはこちらがどんなに要望を言おうともエンジニアさんの個性が出てしまう。今まではワイキキの都合に合わせて人選を任せていたのだが、今回は(珍しく)無理を言って、こういう形にした。
結果はバッチリ。曖昧な部分を切るのではなく、生かすことによって音楽の本質が浮き彫りになるような、そういう仕上がりである。

ジャケットに関しては計画無しの行き当たりばったりでやってみた。
どうせ必要になるアー写を撮るついでに、ジャケも写真にしようか、ぐらいのノリで弟・純とロケ。できた写真を周りに見てもらって表1写真を決め、それをデザイナー森脇さんに丸投げ。
出てきた幾つかのアイディアにこちらの要望を色々と足していって完成へ、と。
結果的には良かったのではないかと思う。
完全に後付けコンセプトになるが、ギターを抱えた写真は1st『アイヴィー』以来となり、
持っているアコギも当時と同じもの。
あちらはお披露目デビュー、こちらは総決算、こんな感じで歳をとりました、的なジャケットになったのではないでしょうか。